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ウイルス不活化/除去の確認 ―ウイルスプロセスバリデーション試験―
ウイルスプロセスバリデーション試験は、原料に大量のウイルスを添加して製造工程を通すことによってどのくらいウイルスが除去・不活化されるか、その減少率を対数で表して評価する方法です。
実際の製造工程では試験できないので、スケールダウンした工程を作成して実験を行います。勿論スケールダウンした工程は、実生産規模の工程とタンパク質の純度や収率などが同等であることが証明されなければなりません。
感染で問題となる実際のウイルス又はモデルウイルスを硫酸アンモニウム沈殿法、クロマトグラフィー法やパスツリゼーションなどの工程に添加して、それぞれの工程の除去率を評価します。
ウイルスの選択
バリデーション試験に用いるウイルスの条件として次の2点があげられます。
・実際に感染する可能性のあるウイルスに可能な限り類似したものを選択
・可能か限り幅広い物理化学的特性を表すウイルスを選択
DNA/RNAウイルス、エンベロープ/非エンベロープウイルス、大型/小型ウイルス、物理的・化学的処理に対する耐性が高いウイルスからバリデーション試験に適切なモデルウイルスを選択する必要があります。
例)・HIV-1
・HCVのモデルウイルス(例:BVDV)
・エンベロープを持つDNAウイルス(例:HSV-1)
・エンベロープを持たないウイルス(HAV及びParvovirusB19もモデルウイルス)
ウイルスバリデーション
ウイルスバリデーションは、ラボ用に合わせて製造工程を縮小して実施されます。実際に血液に混入する可能性があるウイルス、またはそのモデルウイルスを原料血漿に添加し、各製造工程を経るにつれて減少するウイルスを対数減少値として算出します。最終的に各々の対数減少値を加算して累計対数減少値を求めます。
対数減少値の計算法
CSLベーリングのウイルスバリデーション
CSLベーリングの血漿分画製剤はアフィニティークロマトグラフィー、エタノール沈殿法、硫酸アンモニウム沈殿法、パスツリゼーション(液状加熱60℃、10時間)、といった様々な分離・精製工程を経て製造されています。CSLベーリングはこれらの工程のウイルス不活化・除去能力について、その有効性を十分証明(バリデーション)し、公表しています。
バリデーションに関する日本のガイドライン
日本のガイドラインはCPMP(欧州医薬品局)のガイドラインをもとに1999年に作成され、2003年に改訂されました。内容としてはHBV、HCVおよびHIVのウイルスクリアランス指数が9以上であることが求められます。すなわち製造工程中でそれぞれのウイルスが累計で9log10以下に減少していることを、バリデーション試験で確認することが必要となります。